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2016年11月21日 (月)

米国の介護事情

  Mary Newportは2冊目の本では一つの章を設けて介護にあたる人たちの窮状を訴えている。この米国の介護事情を読むと、日本の制度がありがたくなる。

  ・ 米国では、アルツハイマー患者の4割が自宅で最期を迎える。終末期の大変な介護の負担は家族にかかっている。(米国のアルツハイマー患者数は520万人と推定されている(2014))
 
  ・ 介護者は、患者のベッドからの出入り、入浴、着替え、トイレの介護(または失禁の後処理)、食事の介助をしなければならない。終盤には食事を一口づづ与えるのに毎日数時間かかる。
 
  ・ 精神的異常や行動の異常にも対処しなければならない。徘徊、鬱、夜間起きる、攻撃的になる、叫ぶ、かみつく、暴力をふるう、などに対処しなければならない。これが夜通し続くこともあるのだ。
 
  ・ 90キロの老人がトイレも分からなくなり、全力で便器に抵抗し、粗相をする。彼を洗い、床を掃除し、彼を風呂場に連れて行かねばならない。60キロの老妻が、自分も持病を持ちながら一人でこの世話をしている。その騒ぎに1時間以上かかる。それが1日に何回もある。
 
  ・ これらの家庭内の介護の実態が政策担当者に理解されていない。介護者の窮状が放置されている。
 
  ・ アルツハイマー病は公私の保険でカバーされない。(保険の「病気」の定義に当てはまらない)。介護サービスを頼むと高くつく。Medicaidは患者本人およびその配偶者の財産を使い果たした後で、しかも施設に入った場合にしか、受けられない。
 
  ・ 介護者は、保険料を払い続けてきたのに、介護のために仕事もやめ、資産を使い果たし、365日24時間の介護を続けて、看取った後に残るのは、自身の老後の経済的不安である。
 
  気の滅入る記述だが、これが米国の実態なのだろう。Maryも夫を自宅で介護している。ただし、彼女は介護人を雇っている。彼女は医者だからそれが可能だったのだろう。
 
  日本はありがたいと思う。いろいろな支援制度やサービスに頼ることができる。介護者の集いで聞いた経験者の話を思い出す。「要介護5になると、ある意味楽になるのよ。施設に入るから。」 米国とは大きな違いだ。いろいろ非難されることの多い厚労省の役人だが、良い制度を作り上げてくれたものだと思う。
 

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