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2017年9月 7日 (木)

「さて、どうしようかな」


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 Yはよく、「さて、どうしようかな」とつぶやいていました。今でもたまに言っています。
 
  佐江衆一という作家の作品に、介護経験を記したものがあります。自分の母を看取り、奥さんの母親を看取り、自分の父親を看取った人です。

  その中にこんな記述(要約)がありました。

  認知症になった奥さんの母親が、「悲しいよう」と泣くようになり、介護に行った娘(作者の奥さん)に聞きます。
  「蕗子ちゃん、わたし、どうしたらいいの?」

  この哲学的な問いにとまどう作者の横で、奥さんはこともなげに答えます。

    「何もかんがえないでいいのよ。ここに居ればいいのよ。わたしもここにいるでしょう?」

  母親は安どしてうなずき、眠ったのでした。

  でも母親はたびたび同じ質問をします。施設に入るときの娘の答えは

  「ここに立った人に”ありがとう”っていうのよ」

  その夜、母親はアリガトウゴザイマスを念仏のように唱えて亡くなったのでした。

  Yの「さて、どうしようかな」も、実は、この「わたし、どうしたらいいの?」と同じだったのではないか、思いました。

  いろいろ不安な思いを抱いていたのでしょう。例えば、Yは自宅に居ても他人の家に居ると思っていました。いつまでも他人の家に居るわけにはいかないから、自分の家に帰りたいけれども、それがどこにあるか分からない。まさに、「わたし、どうしたらいいの?」と言いたい状況だったでしょう。それを、「さて、どうしようかな」と表していたのかなと思いました。

 状況が分からなくなり、自分の役割も分からなくなり、いる場所も分からなくなったら、まさに、「わたし、どうしたらいいの?」(=「さて、どうしようかな」)の毎日だったのでしょう。

 これからは、筆者の奥さんのような、Yを安心に導く答えができるといいのですが。

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